みなさんは「不発弾」というものをご存知ですか?
(最終更新日:2021年12月3日)
不発弾とは?
(出典:ニコニコ大百科)
第二次世界大戦中のものがまだ地中に眠っています。
沖縄では毎年20トンほどが自衛隊によって処理されています。
(出典:Wikipedia)
2018年に国内で処理した不発弾は1480件で、計約53トンです。この不発弾には米軍の物や旧日本軍のものも含まれています。
不発弾をすべて処理するには、約70年かかると言われています。
不発弾の処理方法
爆弾には「信管」という起爆装置がついています。これがなんらかの原因で作動しなかったものを「不発弾」と呼びます。信管には「弾頭信管」と「弾底信管」の2つあります。この2つの信管を抜き、不発弾の安全化を図ります。信管を抜けば、よっぽどのことがない限りは爆発しません。
動かせないと判断されたものはその場で爆破処理されます。
(その際は土や砂などを積み上げて処理をします)
(出典:43発の不発弾)
2020年4月26日、沖縄の那覇空港で不発弾が見つかりました。
つい最近の出来事です。
【#不発弾処理(その1)】
— 陸上自衛隊 第15旅団 (@jgsdf_15b_pr) 2020年4月25日
令和2年4月26日、#第15旅団 第101不発弾処理隊は、#沖縄県 #那覇空港 で発見された #不発弾 の現地安全化を行いました。
現地安全化とは、動かすと #爆発 する危険性がある不発弾を #警察 、 #消防 及び #自治体 と協力して発見現場にて処理をすることです。 pic.twitter.com/2QxL4aYBZN
【#不発弾処理(その2)】
— 陸上自衛隊 第15旅団 (@jgsdf_15b_pr) 2020年4月25日
#第15旅団 第101不発弾処理隊は、#沖縄県 #那覇空港 で発見された不発弾の現地安全化を行いました。
4月26日現在の不発弾処理実績は、38,068件(1,824トン)になります。
第15旅団は沖縄県民の皆様の #安全 ・ #安心 のため日々任務に邁進して参ります。 pic.twitter.com/D0k97VnsEs
こんなに大きいのがまだ残ってるなんて怖いですよね。
2019年には東京五輪の会場近くで...
去年の9月には東京オリンピック会場「有明テニスの森」の近くで発見されました。
【撤去済み】五輪競技場「有明テニスの森」近くの工事現場から不発弾https://t.co/Bdjlu0R7tS
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2019年9月16日
不発弾は長さ約1.2m、重さ約250kgで、第二次世界大戦当時のアメリカ軍の焼夷弾だという。 pic.twitter.com/PpHZzpNZnK
前置きが長くなりましたが...
今回は、自衛隊が行っている不発弾処理について解説していきます!
不発弾処理隊
自衛隊の不発弾処理隊は主に5つあります。
・第101不発弾処理隊:那覇駐屯地(第15旅団)
・第102不発弾処理隊:朝霞駐屯地
・第103不発弾処理隊:桂駐屯地
・第104不発弾処理隊:目達原駐屯地
・中央即応連隊爆発装置処理隊:宇都宮駐屯地
(出典:陸上自衛隊)
不発弾処理の手当ては?
(出典:陸上自衛隊 第15旅団)
さて、気になる手当です。
危険度によって異なりますが、「危険度が高い作業の場合(信管除去など)」は最低日額1万400円※1支給され、最大で日額1万4200円※2支給されます。
※1...陸士長及び1等陸士の場合。
※2...2等陸尉の場合。
「危険度が低い作業の場合(捜索や発掘など)」は日額750円が支給されます。
とても危険な仕事にもかかわらず低いですよね...
不発弾処理の手当ては、『「一万四千二百円を超えない範囲内で防衛大臣が定める額」は、自衛隊法施行規則第34条又は第35条の規定により指定されている階級に応じ...』にて、決まっています。
出典および引用:(防衛省職員給与施行細則)
不発弾処理の成功率
戦後(1958年)からずっと不発弾処理を行っている自衛隊ですが、成功率はどのくらいなのでしょうか。
成功率はなんと100%です!
ちなみに、信管を抜くことができるのは世界で自衛隊だけです。
とても頼もしいですよね。
(出典:自衛隊山形地方協力本部(公式))
不発弾処理を担当するところ
不発弾処理は「武器科」が担当しています。
武器科は他にも火器、車両、誘導武器、弾薬などの整備を行います。
不発弾処理という危険な仕事をするところですが、希望者が非常に多いそうです。
(出典:陸上自衛隊)
武器科のき章です。
火炎弾とスパナを組み合わせてかぶとに模したものです。
爆弾があるのは「陸」だけではない
陸で発見されたものは陸上自衛隊が処理します。
海で発見されたものは海上自衛隊が処理します。
海に設置する爆弾(水中兵器)を「機雷」といいます。
主に、タンカーや艦船の航行を妨害・破壊するために使います。
(出典:海上自衛隊)
(出典:海上自衛隊 JMSDF rie)
機雷の処理方法
船に乗せて陸で処理...なんてわけにはいきません。海上で爆破処理します。
「掃海隊」は、機雷探知機・掃海具などを使って機雷を処理します。
(出典:海上自衛隊)
水中航走式機雷掃討具 S-10
遠隔で無人探査機を操作して、機雷を捜索をします。
(出典:Vessel And Ships Photo Gallery)
機雷処分具 S-7
無人機の下部に小型爆弾がついています。爆弾を機雷の近くに投下させ、機雷と一緒に爆破させます。
(出典:Vessel And Ships Photo Gallery)
20mm機関砲
機関砲を使って爆発させるときもあります。
沈んでいる機雷を海面に浮き上がらせて、射撃します。
(出典:海上自衛隊)
「水中処分隊」は、簡単な作業のときに海に潜って機雷の捜索・処分をします。(写真は模擬機雷)
掃海艇が入れないような海域では、隊員が潜って処理をします。
機雷の爆破処理
(出典:海上自衛隊)
機雷の爆破処理の様子。水柱が上がっています。
(出典:ANN NEWS)
2010年に神戸港で見つかった際には、80mほどの水柱が上がりました。
(出典:海上自衛隊)
クレーンで釣り上げてるのはフロート(浮標)です。
(出典:ASCLL.jp)
掃海艇「あわしま」のフロートです。機雷の爆発によりひしゃげてます。
このフロートは、ペルシャ湾に派遣されたときに使用したものです。
掃海部隊の過去
上記の写真・動画で機雷がどんなに危険なものか分かったと思います。
過去に掃海作業中に機雷が爆発し、殉職者を出しています。
船体が機雷に接触して沈没....という事故などが数回起きています。
戦後の殉職者は約80名。戦中ではなく、戦後です。
※日本特別掃海隊の殉職者も含めています
毎年、夏頃に金比羅で掃海殉職者慰霊行事が行われています。不発弾を見つけたら?
不発弾を見つけたら、絶対に触らないでください!
陸で見つけた場合は110番、海で見つけた場合は118番(海上保安庁)へ通報してください。
また、危険のため周りにいる人たちに近づかないように知らせてください。もちろんですが、ご自身も離れてください。
通報後は警察や自衛隊の指示に従ってください。
筆者が最後に言いたいこと
「自衛隊を好きになれ」だとか「自衛隊に入れ」とは言いません。ですが、自衛隊のことをよく知ってほしいのです。
こうして僕らが平和で安全に過ごせているのは、命がけで仕事をしている人たちがいるから、ということを忘れないでほしいのです。
~海上自衛隊をもっと知りたい方へ~
海上自衛隊のことや掃海部隊のことをもっとよく知りたい方は、広島県呉市にある「てつのくじら館(海上自衛隊呉資料館)」に足を運んでみてはいかがでしょうか。上の方で紹介した、ひしゃげたフロートも展示されています。2004年まで使われていた、本物の潜水艦が展示されていて、中にも入れます。
~陸上自衛隊をもっと知りたい方へ~
陸上自衛隊のことを知りたい方は、埼玉県朝霞市にある「りっくんランド(陸上自衛隊広報センター)」へ。現在使用している装備品(戦車など)の展示や歴史などが学べます。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※この記事の情報は2020年現在のものです。
また、間違いなどがなりましたらコメントで教えてくださると幸いです。
陸上自衛隊 HP
海上自衛隊 HP
てつのくじら館
りっくんランド
独特な存在 海自「掃海隊」
陸上自衛隊 職種紹介(武器科)
五輪会場近くに大戦中の不発弾
平成27年度実機雷処分訓練
掃海艇「はつしま」・掃海母艦「うらが」
引用/画像出典(順不同)
・https://www.mod.go.jp/pco/yamagata/
・https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/15b/15b/
(最終更新日:2021年12月3日)